2007年08月06日

原爆句抄

松尾あつゆき

http://www.nagasaki-heiwa.org/n3/t2/E2.html より

いまわのきわに―原爆句抄

    ★八月九日 長崎の原子爆弾の日。
     我家に帰り着きたるは深更なり。
 月の下ひっそり倒れかさなっている下か

    ★十日 路傍に妻とニ児を発見す。
     重傷の妻より子の最後をきく(四歳と一歳)。
 わらうことをおぼえちぶさにいまわもほほえみ
 すべなし地に置けば子にむらがる蝿
 臨終木の枝を口にうまかとばいさとうきびばい

    ★長男ついに壕中に死す(中学一年)。
 炎天、子のいまわの水をさがしにゆく
 母のそばまではうでてわろうてこときれて
 この世の一夜を母のそばに月がさしてる顔
 外には二つ、壕の中にも月さしてくるなきがら

    ★十一日 みずから木を組みて子を焼く。
 とんぼうとまらせて三つのなきがらがきょうだい
 ほのお、兄をなかによりそうて火になる

    ★十二日 早暁骨を拾う。
 あさぎり、兄弟よりそうた形の骨で
 あわれ七ヶ月の命の花びらのような骨かな

    ★十三日 妻死す(三十六歳)。
 ふところにしてトマト一つはヒロちゃんへこときれる

    ★十五日 妻を焼く、終戦の詔下る。
 なにかもかもなくした手に四枚の爆死証明
 夏草身をおこしては妻をやく火を継ぐ
 降伏のみことのり、妻をやく火いまぞ熾りつ


posted by OYAJI at 10:59| 広島 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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